ANAが発表した日本初の整備士育成計画が注目を集めています。それは・・・。

なんと退役した実際の旅客機、ボーイング737-500型機を新入社員など若手整備士の育成訓練のために、まるごと1機使うという驚きの計画なのです。

整備訓練専用機B737-500型機(ANA)

▽なぜ資産価値十分の退役機をあえて活用? 

こうした取り組み、実は日本の航空会社では初めてなんだとか。なぜならハイテクの集合体でもある機体は、退役しても海外の航空会社に転売されたり、電子部品や金属部品だけでも取り外されて転売されるなど、かなりの資産価値があるのです。とくに日本の航空会社で使用された機体は、整備状態が極めて良いことから、中古機市場でもかなり人気があるんだとか。

▽実機使用で整備士の早期育成が可能に 

こうした退役機をあえて整備士育成のために使用するメリットについて、ANAではHPで次のように説明しています。

  • ・従来の訓練体系では実施が困難であった、実機に対する様々な整備作業の経験が可能。
  • ・実機では経験することのできない「失敗」を早い時期から経験させることができる。
  • ・訓練生の空き時間などに、訓練専用機を使用した知識の現物確認が可能。
  • ・モックアップ(模型)に代わり訓練専用機を用いることで、より多くの新入社員が同時に実技訓練を実施でき、効率的な訓練が可能。

 

これまでは実機で経験を積む前に、モックアップ(模型)などを使用して訓練を重ねてきたそうですが、やはり整備は現場第一の世界!実機の触感や臭い、空気感の中で技術や感覚を学ぶことは非常に大切なんだと思います。

▽「スーパードルフィン」が「スーパ整備士」を育む!

さて、写真を見てもお分かりかと思いますが、この機体はエンジンに可愛らしくほほ笑むイルカが描かれた「スーパードルフィン」と呼ばれる機体です。同型機は、地方空港や離島路線の貴重な脚として長年活躍してきました。

地道に日本の航空輸送網を支えてきた機体が、今度はANAの安全輸送を縁の下で支える若者たちを、ほほ笑みながら送り出してくれる。とても素敵なお話ですね。